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あいさつ
 
 
 

 
 
 急速に進むグローバル化、産業構造の空洞化、そして新しいビジネスモデルの創出など、今、社会は激動の時代を迎えています。そのため、これからの新たな時代を切り拓くことができる人財が求められています。

 本校は、設置認可110年目を迎えた、埼玉県を代表する工業高校です。校訓である「誠実・勤勉・創意」のもと、これまでの歴史と伝統の中で培ってきた工業高校ならではの教育活動をとおして、新しい時代が求める技術者を育成してまいりました。

 工業とは、ただ「ものをつくる」のではなく、「人が、人として幸せに生きていくために必要なものをつくること」だと捉えています。

 そのためには、相手の気持ちや立場に立って考えること。行動すること。つくり上げることが大切です。その基本は「優しさ」です。本校の生徒には、工業高校の生徒だからこそ、ものづくりや様々な人との触れ合いの中で、心を磨き、技を鍛え、人としての「優しさ」を身につけてもらいたいと考えています。

 私たち教職員は、生徒一人一人が持つ、資質・能力・人間性を、限りなく伸ばせるよう、限りなき情熱を傾け、日々の教育活動に邁進してまいります。工業教育の王道を歩みながらも、常に進化し続ける川越工業高校への御支援・御協力をよろしくお願いいたします。

埼玉県立川越工業高等学校長  清水 雅己  

 
校長講話
校長講話
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2018/04/09

平成30年度入学式 式辞(要旨)

| by:校長
式     辞

やわらかな、春の日差しの中、若葉がまぶしく、若い命が躍動する希望あふれる季節がめぐってまいりました。

この春のよき日に、
学校評議員 東洋大学 教授 吉田泰彦 様
PTA会長 稲葉哲洋 様
後援会長  郡司光夫 様
をはじめとする御来賓の皆様と、多数の保護者の皆様のご臨席を賜り、平成30年度 埼玉県立川越工業高等学校入学式をかくも盛大に挙行できますことは、本校関係者一同の大きな喜びとするところであります。
御臨席賜りました皆様に心から御礼を申し上げます。

ただ今、入学を許可いたしました284名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
教職員、在校生を代表して、皆さんの入学を、心から歓迎いたします。
そして、今日まで様々な面で、御苦労を重ねて来られました、保護者の皆様に、お子様の御入学を、心からお祝い申し上げます。

さて、本校は、明治四十年に、埼玉県立川越染織学校として、この地への設置が認可され、この百十年の間に、校訓である「誠実・勤勉・創意」のもと、生徒たちの力を引き出し、鍛え、常に日本の工業界をリードする人財を育ててまいりました。

新入生の皆さんには、本校で、確かな学力に加え、社会人としての豊かな教養、そして技術者としての、高い技術力を身につけてもらいたいと思います。

本校での学校生活は、皆さんの生涯の中でも、極めて大切な時間になるものと思います。
そこで、入学にあたり、心に留めておいていただきたい、二つのことをお話しいたします。


一つは、「夢信進工道」という言葉です。

夢・信じる・進む・工・道、「夢を信じて工の道を進む」、と書いて、「むしんしんこうどう」と読みます。
この言葉は、皆さんの大先輩であるJR東日本のスイカの開発者 椎橋章夫先輩から贈呈され、これから皆さんが毎日使用する生徒昇降口の正面に掲げられている書にある言葉です。また、将来における皆さんの座右の銘としていただきたい言葉です。

この「夢信進工道」を現実のもとするためには、まず「夢」を持つことが大切です。
その夢は、先の長い生涯をかけての夢でも、少し努力すれば手が届きそうな、目標でも構いません。


人は、常に夢や目標を持ち、それに向かって努力することで、一回りも、二回りも、成長することができます。
幸いにも、本校には、充実した施設設備があり、そして何よりも、素晴らしい指導者である先生方がいます。
毎日の授業はもちろん、いろいろな資格取得やコンテスト、そして、部活動など、他に類を見ないたくさんのチャンスがあります。

しかし、チャンスは、待っていたのでは見逃してしまいます。
チャンスは、教えられるものでも、与えられるものでもありません。
チャンスはいたるところにあり、チャンスをチャンスとして捉えられる目や嗅覚、すなわち、何事も前向きに捉えるプラス思考の考え方や行動力が大切になります。

できるかどうかを考えるのではなく、「やってみたい!」「やってみよう!」と思える自分であってもらいたいと思います。
夢や目標は、そのための起爆剤となります。

そして、「信じる」ことが大切です。
「信じる」と言っても、「念じる」や「祈る」というという受け身の姿勢ではなく、「失敗を恐れることなく、何事も成し遂げるまで諦めず、果敢にチャレンジする」ということです。

皆さんがこれから生きていく時代は、グローバル化の発展による国際競争の激化や人工知能、IoTの目覚ましい発達など、社会状況が大きく変化する予測することが難しい時代です。

そのような時代を生き抜くには、自分の知識や技術を磨き、鍛え、自分に力を付けていかなければなりません。
そのためには、夢を持ち、目標を定め、失敗を恐れることなく、何事も成し遂げるまで諦めず、果敢にチャレンジする姿勢が極めて重要になります。
皆さんも聞いたことがあると思いますが、「能ある鷹は爪を隠す」という諺があります。
有能な鷹は獲物に気づかれないように、悟られないように、普段は爪を隠し、いざ獲物を捕らえる時だけ鋭い爪を出すことから、転じて、「才能や実力のある者は、軽々しくそれを見せつけるようなことはしない」という意味を持っています。

日本人の美意識からすると、自分の才能をひけらかすことは恥ずかしいこととされ、「能ある鷹は爪を隠す」は、美徳ともされている姿です。

確かに、慢心して得意がって見せつけたり、見せびらかしたり、自慢したりすることは卑しく見えたりもします。
また、慢心は、人を不快にするばかりでなく、自分の成長をも止めてしまうこともあります。
しかし、慢心からではなく、自分の知識や技術を磨き、鍛え、自分に力を付けるためには、爪を出すことはとても大切なことです。

能ある鷹も爪を出すことをしない日々が長くなれば、感覚が鈍り、いざという時に、その爪を出すこと、実力を発揮することができなくなります。
また、能ある鷹にまでは至っていない修行中の鷹であればなおさらです。
そして、競争相手が多くなればなるほど、生き抜いていくことが難しくなり、獲物を捕ることができなければ飢え死にしてしまいます。

言うまでもなく、ここで言う、能ある鷹とは、実社会の第一線で活躍している人のような能力のある人、力のある人のこと。
修行中の鷹とは、皆さんのこと。
獲物とは、様々なチャンスのこと、仕事のこと。
とでも言えばわかりやすいでしょうか。

先ほども話したとおり、グローバル化の発展による国際競争の激化や人工知能、IoTの目覚ましい発達などにより、社会状況が大きく変化するこれからの時代にあっては、「能ある鷹は爪を出せ!能ある鷹になるため爪を研げ!」という姿勢が大切になります。

自分の知識や技術を磨き、鍛え、自分に力をつけるためにも、失敗を恐れず、何事も成し遂げるまで諦めず、果敢にチャレンジする姿勢が大切になります。
とは言っても、皆さんの心の中には、失敗を恐れ、チャレンジすることに躊躇する心が潜んでいるかも知れません。
その躊躇する心を追い払うために、次の言葉を紹介します。

世の中に、失敗というものはない。チャレンジしているうちは失敗はない、諦めた時が失敗だ。

有名な言葉なので知っている人も多いと思いますが、この言葉は、京セラや現在のauなどを立ち上げ、日本航空を再生したことで知られる 稲盛和夫さん の言葉です。

また、現在のパナソニックを一代で築き上げた 松下幸之助さん も、
失敗の多くは、成功するまでに諦めてしまうところに、原因があるように思われる。最後の最後まで諦めてはいけないのである。

失敗すればやり直せばいい。やり直してダメならもう一度工夫し、もう一度やり直せばいい。

失敗したとこでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる。

と、稲森さんと同様の言葉を残しています。
さらに、松下幸之助さん は、

失敗の原因を素直に認識し“これは非常にいい体験だった。教訓になった。”というところまで心を開く人は、後日進歩し、成長する人だと思います。

と、失敗に対して次につなげる前向きな姿勢が大切であることを教えてくれています。

皆さんは、修行中の鷹です。
高校生だからこそ、失敗を恐れることなく、
何事も成し遂げるまで諦めず、果敢にチャレンジしてください。
これらのことからもわかる通り、「夢信進工道」が持つ意味は、「夢を持ち、自分自身が決めた道一筋を、諦めることなく歩んで行く。チャレンジし続ける。」という覚悟の言葉です。

そして、この「夢信進工道」は、
 雲も一つの武蔵野に
  分けゆく道は数あれど
   工の道の一筋を
    命とたどる若人われら
     ゆめな迷いそ我が友よ

 よしや行く手は遠くとも
  いかで挫けんたゆみなく
   進まんのみぞクローバーの
    精神(こころ)わすれぬ若人われら
     ゆめ怠るな我が友よ

という本校の校歌が持つ意味そのものであり、本校校歌の題とも言える言葉です。
ぜひ、皆さんには、「夢信進工道」の「工」と言う字に、自分自身の夢や目標を重ね合わせ、登下校の際には、必ずこの書を見上げ、その思いを常に意識するようにしてもらいたいと思います。


二つ目は、「優しくあれ」ということです。

私は、工業とは、ただ ものをつくる のではなく、「人が、人として、幸せに生きていくために必要なものをつくること」だと考えています。


皆さんが、本校で学ぶ知識や技術は、自分のためだけでなく、人のため、社会のため、世界や地球のために、役立たせるためのものです。
専門的な知識や技術の先には、それを利用する「人」がいます。
いかに高度な技術を駆使したものであっても、それを使う人への、思いやりや配慮、気遣いがなければ、決して受け入れられることはありません。


相手の気持ちや、立場に立って考えること。行動すること。作り上げること。その基本は「優しさ」です。

クラスの友人、学科や部活動の先輩、仲間、そして先生方、様々な人との触れ合いの中で、心を磨き、鍛え、人としての「優しさ」を身につけていってください。


最後になりましたが、保護者の皆様に申し上げます。

本日より、本校を巣立つその日まで、大切なお子様を、責任を持ってお預かりいたします。

お子様一人一人が持つ、資質・能力・人間性を、限りなく伸ばせるよう、私たち教職員は、全力で努めてまいります。

そのため、時には、厳しく、教え、諭すこともあるでしょう。
保護者の皆様におかれましては、学校の方針を御理解いただき、御協力くださいますようお願い申し上げます。

また、お子様は、青年期の悩み多き年代にあります。
保護者の皆様と本校の教職員が互いに信頼し、情報交換を密に行い、手を携えながら、粘り強く、お子様の成長を支援できればと考えておりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。

結びに、希望あふれる新入生の皆さんの前途を祝すとともに、本日、御多忙の中、御臨席賜りました皆々様に、重ねて御礼申し上げ、式辞といたします。

平成30年4月9日
埼玉県立川越工業高等学校長
清 水 雅 己

18:00
2018/03/23

平成29年度第三学期終業式 式辞(要旨)

| by:校長
平成29年度も、今日で終わりとなります。
まずは、皆さん、この平成29年度の1年間、たいへんお疲れ様でした。

特に今年度は、明治40年5月7日の本校の設置認可から110年目となる節目の年として、様々な事業にも挑戦してもらい、皆さんは本当に多くの成果をあげてきました。

11月26日にはTBSの「別冊アサ秘ジャーナル」で90分間という長い時間、本校だけを紹介する番組が放送されました。
3月8日にはテレビ東京(テレビ大阪)の「和風総本家」で約1時間のドキュメンタリーに先日卒業した建築科の江連君が出演するなど、本校のことがメディアで大きく取り上げられ、川越工業高校の名が全国に轟きました。
これらのことは、お願いしても、お金を積んでも、基本的にはありえないことですが、現実として起こった、とてもありがたく、すごい年でもありました。
また、数日後には、NHKの「Rの法則」に、自転車競技部の皆さんが登場しますので、楽しみにしていただきたいと思います。

取組内容は言うに及ばず、知名度も、まさに日本一の工業高校であると思います。
これも、皆、先生方の支援・指導のもと、皆さんが向上心を持って、諦めず、走り続けるランナーのように自主的に、そして、主体的に取り組んできた成果だと思います。
 
良く聞く言葉で、
「人生は下りのエスカレーターを逆に登るようなもの」という言葉がります。

それは、見ているだけでは何も変わらず。
一歩踏み出してみても、そのままだとすぐに元の場所に押し戻される。
ちょっとがんばって昇ってみてもエスカレーターのスピードと同じ速さで歩いていては、その場から進むことはできない。
走り続けてはじめて、上の階にたどり着くことができる。
そして、これまで見たことがない新しい世界を見ることができる。次のステップに進むことができる。
というものです。

このように、皆さんには、これから先も、さらなる高みを目指し、走り続けてもらいたいと思います。
ただし、実際にエスカレーターを逆に登ることは、危険であり、迷惑行為でもありますので、絶対にやらないでください。
 
さて、今日は、「学び」に関することを一つだけ話したいと思います。

今年の正月の頃、放送されていたテレビコマーシャルで、個人的にとても好きなコマーシャルがありました。
そのコマーシャルは、皆さんも見たことがあると思いますが、auの三太郎のコマーシャルです。

菅田将暉(すだ まさき)さんが演じる鬼ちゃんが、鈴木福(すずき ふく)君が演じる子どもの赤鬼に、「お前、将来どうするんだ?」と聞くと、
子どもの赤鬼は、「お父さんの電気屋さん手伝うよ」と、家族が多いことから、家計を気にして答えます。
すると、鬼ちゃんは、「生意気言うな!」と言った後、
「学んだことは誰にも奪われないから!」と優しく進学を勧める場面があります。

感動の一言ですが、言い換えると、「学んだ知識や技術は自分のものになる。自分の力になる」ということです。

先日の表彰式のときにも少し触れましたが、変化の激しい時代だからこそ、自分の知識や技術を磨き、自分を高めレベルアップすること。
自分を鍛え、自分に力をつけることが大切です。

自分を鍛え、得られた力や誇り、自信は、どんな時代にあっても、どんな苦境に立たされても、必ず自分を助けてくれます。
そして、皆さんには、その力を自分のためだけでなく、人のため、社会のために発揮してもらいたいと思います。
そうすることで、皆さんの人生はとても豊かなものになっていくと思います。
 
どんな壁にぶつかっても、どんな嫌なことがあっても、逃げずに、諦めずに乗り越え、走り続けられるよう、自分を鍛えていってください。


この「自分を鍛える」ということでは、アメリカの牧師・著作家の ジョン・トッド氏 は、次のような言葉を残しています。
「およそのものは権力で手に入れたり、お金で買えたりするが、知識だけは勉強して手に入れる以外に方法はない。」

そして、
「最も貴重な知識とは自分の力で導きだしたものだ。」

その上で、こうも言っています。
「知識を蓄えるのではなく、考える力を鍛えなさい。」

自分を鍛えることは、「考える力を鍛える」こと。
考える力を鍛えるには、人の教えを聞いて、書くだけの受動的な学び、受け身の学びでは足りません。

これに関することで、先ほど紹介した ジョン・トッド氏 は、
「思想もまた、人に語ることによって、より確実に自分のものとなる。すなわち、教えることは学ぶことであり、与えることは与えられることなのだ」
と言っています。

このことについては、ローマ帝国の哲学者 セネカ も、
「人間は教えているあいだに学ぶものである」と言っています。
 
皆さんも経験があると思いますが、人に何かを教えようとすると、意外に、そのことについて知らなかったり、曖昧であることに気が付きます。
人に教えるために、内容を確かめるなど学び直すことで、自分の中で理解が深まります。
また、相手からの質問などから、新しい視点を得たり、発見したりすることもあります。

このように、人に何かを教えるということは、その半分が自分の勉強になるということから、日本では昔から、「教うるは学ぶの半ば」「教えることは学ぶこと」とも言われています。

人に教える機会や説明する機会、発表する機会があるなら、それは、「自分の勉強になる」と考え、積極的に取り組んでもらいたいと思います。

幸い本校には、小学生や保護者の皆さんにものづくりを教えたり、課題研究などの成果を発表する機会がたくさんあります。

「教うるは学ぶの半ば」「教えることは学ぶこと」

この言葉とその意味を胸に刻み、実践してみてください。
きっと、「学び」への概念が変わり、自分自身が変容していくことを実感できると思います。
 
それでは、最後に、お願いです。
いつも学期の終わりに言っていることですが、春休みを迎えるに当たり、私からお願いしたいことは、一つ。
「死ぬな!ケガするな!悲しませるな!」ということです。

それでは、4月9日には、全員そろって、笑顔で会いましょう!
平成29年度の1年間、たいへんお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

18:00
2018/03/10

平成29年度卒業証書授与式 式辞

| by:校長
式  辞

やわらかな春の日差しの中、木々のつぼみも、日に日に膨らみ始め、春爛漫の日の近いことを思わせる季節になりました。

この春のよき日に、PTA会長 稲葉哲洋様、後援会副会長 阿部英典様 をはじめ、多くのご来賓の皆様と、保護者の皆様のご臨席を賜り、平成29年度 埼玉県立川越工業高等学校卒業証書授与式をかくも盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、本校職員、在校生一同の大きな喜びとするところであります。
ご臨席賜りました皆様に、心から御礼を申し上げます。

ただいま、卒業証書を授与いたしました272名の卒業生の皆さん、
ご卒業おめでとうございます。
心からお祝いを申し上げます。

また、保護者の皆様には、お子様の高校卒業の晴れやかな姿をご覧になり、喜びも、ひとしおのことと、拝察申し上げます。
高校時代は、心・技・体ともに、人生の中で最も成長する時期であると同時に、不安定な時期でもありました。
保護者の皆様の温かい愛情が実り、お子様は、ご覧のとおり、立派に成長され、本日ここに、卒業の日を迎えられました。
改めて、心からお祝いを申し上げます。


さて、振り返ると卒業生の皆さんと私は、3年前の平成27年4月に、この川越工業高校で新たな生活をスタートさせました。
その入学式の式辞で、皆さんの心に留めておいていただきたい、二つの話をしましたが、皆さんは覚えているでしょうか。

それは、「夢を持つこと」と「優しくあれ」という話です。
「夢を持つこと」では、その夢は、先の長い生涯をかけての夢でも、少し努力すれば手が届きそうな、目標でも構わない。ということ。
人は、常に夢や目標を持ち、それに向かって努力することで、一回りも、二回りも、成長することができる。ということ。
また、本校には、他に類を見ないたくさんのチャンスがある。ということ。
そのチャンスに、積極的にチャレンジして、夢を掴んでほしい。ということです。

そして、皆さんの大先輩であるウォークマンの開発者 高篠静雄先輩、そしてスイカの開発者 椎橋章夫先輩、両先輩の共通の言葉、
「すべては夢を持つことから始まる」という言葉を紹介しました。
その日のことが、つい昨日のことのように思い出されます。


皆さんは入学してから今日まで、「誠実・勤勉・創意」の校訓のもと、学校生活に一所懸命に取り組んできました。
本校での三年間は、勉強はもちろんのこと、学校行事や部活動、資格取得、各種コンテストなど、さまざまな夢や目標に向かって挑戦してきました。

強歩大会や体育祭、工業祭、修学旅行などの行事では、生徒会やクラス、あるいは学科を中心に取り組み、仲間との強い絆を築くとともに、人間性を磨いてきました。

資格取得では、技能検定や電気工事士をはじめ、多数の国家資格に合格、ジュニア・マイスターの取得など、他に類を見ない多くの成果をあげてきました。

課題研究では、学校だけでなく、企業や大学などをはじめ、社会との連携によるハイレベルな研究活動に取り組み、各学科における「課題研究発表会」や「卒業制作展」、そして、2月9日に行われた「五学科合同課題研究発表会」では、三年生全員がその成果を遺憾なく発表し、大成功を収めました。

部活動では、仲間とともに暗くなるまで練習に励み、休日も返上して汗を流し、本校が、文武ともに極めて優秀な学校であることを証明してくれました。

このような日々を送る中では、さぞかし、辛いこともあったことと思います。
惜しくも敗れ、流した悔し涙、その辛さを乗り越え、目的を達成したときの歓び、その経験こそ、これからの人生の最高の宝物になるはずです。

その経験や思い出を、いつまでも大切に、胸に刻んでおいてください。

そして、いつも皆さんを見守り、励まし、支えてくださった、家族や、先生方、仲間、後輩たちがいたことを忘れないでください。

その皆さんが、溢れる希望を胸に抱き、本日をもって、川越工業高校から、新たなる社会へ、羽ばたいていくことに、大きな寂しさを禁じ得ません。


今ここに、万感の思いを込めて、そして、皆さんのこれからの長い人生における人生訓として生かせるよう、皆さんへ二つの餞の言葉を贈りたいと思います。


一つ目の言葉は、「夢信進工道」という言葉です。
この言葉は、皆さんが二年生の五月に、スイカの開発者 椎橋章夫先輩から贈呈され、現在、生徒昇降口の正面に掲げられている書にある言葉です。

「夢信進工道」
「夢を信じて 工の道を進む」
その意味は、「夢を持ち、自分自身が決めた道一筋を、諦めることなく歩んで行く」という覚悟の言葉です。

これは、

「雲も一つの武蔵野に
  分けゆく道は数あれど
   工の道の一筋を
    命とたどる若人われら
     ゆめな迷いそ我が友よ

 よしや行く手は遠くとも
  いかで挫けんたゆみなく
   進まんのみぞクローバーの
    精神(こころ)わすれぬ若人われら
     ゆめ怠るな我が友よ」

という本校の校歌が持つ意味そのものであり、本校校歌の題とも言える言葉です。

また、「夢信進工道」は、
夢を持ち、自分自身が決めた道一筋を、諦めることなく歩んで行きなさい。そうすれば、夢は必ず叶います。」
という暖かい教えであり、励ましの言葉でもあります。

「夢信進工道」
この言葉を皆さんへの最後のエールとして贈りたいと思います。


二つ目の言葉は、入学式でお願いした、
「優しくあれ!」という言葉です。

「夢信進工道」の書を贈呈していただいた際の講演会の中で、椎橋先輩は、スイカプロジェクトを成功させた後に、思ったこととして、
・お客様にとって良いもの、便利なものであること
・社員や会社にとっても良いものであること
・社会や世の中にとっても良いものであること
この三つを達成することができたからこそ、スイカは、社会に受け入れられたのだと話されていました。

また、椎橋先輩は次のような言葉も私たちに伝えてくださいました。
「学問は実社会で役立ててこそ本当の価値がある」
学問、すなわち、学び得た知識や技術を、実社会で発揮してもらいたい。ということです。
皆さんは、この三年間に、本当に多くの知識や技術を学んできました。

そして、その知識や技術を基盤に、これからも、さらなる精進を重ね、立派な社会人になっていくのだろうと思います。

皆さんが持つ知識や技術は、自分のためだけでなく、人のため、社会のため、世界や地球のために、役立たせてこそ、価値があり、その役割を果たすことができます。

そのためには、相手の気持ちや、立場に立って考えること。行動することが大切です。

その基本は「優しさ」です。

「優しくあれ!」
この言葉を再び、皆さんへの最後のお願いとして贈りたいと思います。


いよいよ本日をもって皆さんは、川越工業高校から新たなる社会に向けて羽ばたきます。
皆さんは、時流に乗る人、追いかける人ではなく、本校のDNAが宿る「新しい時代を創る人たち」です。
社会の変化や、技術の進歩をしっかり見つめ、感じ、考え、行動できる、新しい時代を切り拓く、優しく健康で、人間性豊かな社会人となることを心から期待しています。


最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、本校の教育活動につきまして、格別のご支援、ご協力をいただき、誠にありがとうございました。
時には、至らぬことや、ご心配をおかけしたこともあったかと存じますが、暖かく見守っていただいきましたことに、心から感謝申し上げます。

そして、改めて、お子様のご卒業を心からお祝い申し上げますとともに、本校への末永いご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


結びに、本日ここに、ご卒業される卒業生の皆さんが、前途洋々たる人生を、正々堂々、そして楽しみながら歩んでいくことを心より祈念し、式辞といたします。

平成30年3月10日
埼玉県立川越工業高等学校長
清 水 雅 己

17:00
2018/01/09

平成29年度第三学期始業式 式辞(要旨)

| by:校長
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

冬休み中、事故等の報告は入っていませんので、元気に冬休みを過ごせたのだろうと思います。
まずは、元気に登校してくれてありがとうございます。
全員揃って、そして、感謝の気持ちから新年がスタートできるのはいいものです。

今年の正月も、天候に恵まれ、とても穏やかな正月であったと思います。
日頃何かと多忙な皆さんですが、年末年始は、少しはゆっくりできたのではないでしょうか。
私は、毎日のように出かけてはいましたが、比較的のんびりとした年末年始を過ごすことができました。

気になったニュースと言えば、これから2年生が修学旅行に向かう沖縄で、米軍のヘリコプターの窓が小学校の校庭に落ちたり、民家の近くに不時着したりと他人ごとではない事故が続いていること。

また、昨日の成人式で、振り袖の販売やレンタル、着付けを手掛ける業者が突如、連絡が取れなくなり、成人式に出席できなくなるなどの被害を受けた新成人が多数出てしまったということ。

レベルは違うかもしれませんが、例えば、楽しみにしていた修学旅行で、羽田空港に集合し、いざ出発しようとしたときに、飛行機の予約ができてなくて、修学旅行に行けなくなってしまったようなものかもしれません。

一生に一度の思い出、本人や家族が楽しみにしていた成人式が台無しにされてしまったという事件。
業者の自分勝手で、規範意識や倫理観のなさが招いた悲劇としか言いようがありません。


さて、今日は、第3学期、そして新年のスタートにあたり、ことわざ を1つ紹介したいと思います。
それは、「悪木盗泉」という ことわざ です。

「悪木盗泉」の「悪(あく)」は、善悪の悪(あく)。「木」は、木(き)。「盗」は盗(ぬす)む。「泉は泉(いずみ)と書きます。

「渇しても盗泉の水を飲まず」
「熱しても悪木の陰に憩わず」

これは、中国の三国時代、呉の頃に生きた陸機という人の「猛虎行」という詩の一節です。日本にも、同じような意味を持つ、「鷹は飢えても穂を摘まず」という ことわざ がありますが、

「渇しても盗泉の水を飲まず」、その意味は、いくらのどが渇いていても、「盗泉」という名のつく泉の水は飲まない。
「熱しても悪木の陰に憩わず」、その意味は、いくら日差しが強く、辛くても、「悪木」と呼ばれる木の陰では休まない。
というもので、どんなに困っても、不正なことには手を出さない。
いくら困っていても、人に怪(あや)しまれるようなことはしない。
わずかな悪事にも身を近づけない。ましてや、身を染めることはしない。
道義(どうぎ)に外(はず)れるようなことは、断じて行わない。
という人としての立ち振る舞いを言い表したものです。

最近、新聞等の報道を見ていると、人間の尊厳など、どこかに捨て去ってしまったとしか思えないような事件が増加しているように感じます。

ちょっとのどが渇いたら、盗泉の水だろうとなんだろうと構わず飲む。
暑いから、辛いから、悪木の陰にずるずると身を寄せ休む。
そして、とがめられると、「悪いのは自分じゃない。日差しが強いからだ。悪いのは日差しだ。」などと言い出す。
 
現在、社会は享楽的な傾向にあることは否めない事実です。
「悪木盗泉」が、私たちの身の周りにたくさんあるのも事実です。
欲望を刺激されると、ついふらふらと盗泉の水を飲みたくなったり、悪木の陰に身を寄せたくなることもあると思います。

しかし、それを踏みとどまることができるのが人間の素晴らしいところです。
そして、その人間の素晴らしさを支えているものの一つに、「志を高く持つ」ということが挙げられます。

「志」とは、夢を掲げ、その夢に向かって誠実に、直向きに突き進むこと。
そして、皆さんは、工業高校で学び、「工」の道を歩む人たちです。
その「工」の精神の中で大切なものに、「技術者倫理」、すなわち、「職業人としての規範意識や倫理観」が挙げられます。
これは、「志を高く持つ」ための基礎や基盤となるものです。

皆さんには、平成30年を、志を高く持ち、後になって自らを恥じたり、言い訳をしないで済むような1年にしてもらいたいと心から願います。

 
結びに、昨年11月26日に、TBSの「別冊アサ秘ジャーナル」で、番組発の工業高校として、全国530校を超える工業高校の中から本校が選ばれ、90分という長い尺で本校が紹介されました。これはまさに、本校が「日本一の工業高校」であることが、他に認められた瞬間だったと思います。

番組制作に当たったディレクターの方からは、これまで大学をはじめ、何校もの学校を1校90分の尺で紹介してきましたが、90分では足りないと感じたのは初めてでした。
撮影したにもかかわらず紹介することができなかった皆さんには本当に申し訳ないと思っています。
また、2カ月間、川越工業高校を密着取材させていただきましたが、生徒の皆さんの“ものづくり”に対する真摯な姿勢に感動しました。
どんな質問しても、皆さんが、自分の考えを、自分の言葉でしっかり答えてくれました。
それは、生徒の皆さんが自主的に、主体的に“ものづくり”に取り組んでいることの証(あかし)だと思います。
生徒の皆さんとの2カ月に亘るふれあいを通して、川越工業高校の魅力を肌で感じました。
と話されていました。

皆さんには実感がないかもしれませんが、皆さんは、他者にそう思わせることができるほどの凄い生徒たちであり、まさに、日本一の工業高校生であると思います。
皆さんには、日本一の工業高校生としての誇りを胸に、これからも、驕ることなく、志を高く持って、「工」の道を歩み続けてもらいたいと思います。

それでは、今年一年が皆さんにとって充実した年となることを祈念して式辞とします。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

10:30
2017/12/22

平成29年度第二学期終業式 式辞(要旨)

| by:校長
おはようございます。速いもので、今日で2学期も終了です。
この2学期を振り返ると、9月には体育祭、10月には工業祭、11月にはマラソン大会、そして、一昨日の110周年と 大きなイベントが次々と行われました。

それに対し、皆さんは真摯に取り組み、大きな成果を挙げてきたと思います。
そして、3年生は、採用試験や入試。それぞれまだ続いていますが、悩みながらも人生の岐路に立ち、それぞれの生徒が進路実現を果たすために取り組んでいます。
まずは、その真摯な取組に敬意を表します。お疲れ様でした。

さて、今日は伝言を1つ、お願いを2つ 申し上げたいと思います。

はじめに、伝言です。
昨日、手紙を受け取りましたので紹介させていただきます。
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拝啓
12月19日の「命の大切さを学ぶ教室」では、大変お世話になり、心から感謝申し上げます。
素晴らしい出会いを嬉しく存じます。

~中略~

全校の生徒さん全員が、こんなおばあちゃんの話を真摯に聴いてくださった。
そして、代表の生徒さんが、しっかり自分の言葉で私に返してくださったこと、とても感動いたしました。
どうぞ、校長先生から、「佐藤がとても嬉しく感謝していた。」とお伝えくださいますようお願い申し上げます。
ただただ感謝の意をお伝え申し上げたく。
かしこ
佐藤咲子
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この手紙は、12月19日の「命の大切さを学ぶ教室」で講師を務めてくださった佐藤咲子さんからのものです。
皆さんの話しを聴く姿勢、3Gの橋場(はしば)君の謝辞にとても感動され、筆をとられたようです。

また、先日、来訪されたお客様から、このような言葉をいただきました。
それは、「川越工業の生徒さんたちは、すごい生徒さんたちですね。何人もの生徒さんが、廊下ですれ違う時に、立ち止まって丁寧にあいさつをしてくれました。とても感動しました。」というものです。
文化祭の開会式で、「第一印象は極めて重要。お客様に対し、元気で爽やかなあいさつをすること。サッカー部のように立ち止まってあいさつができるようになれば最高です。」という話をしましたが、それを実践してくれている生徒がいる。

このように、その言動で、人を感動させることができる、素晴らしいことだと思います。皆さんを誇りに思います。
これからも、このような素晴らしい部分は、さらに伸ばせるよう努めてください。
 

次に、ある有名人の言葉をいくつか紹介します。
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・自分に期待することで、はじめて物事は可能になる。
・目標を達成するには、全力で取り組む以外に方法はない。そこに近道はない。
・失敗をすることは耐えられるが、挑戦しないでいることは耐えられない。
・一度でもあきらめてしまうと、それが癖になる。絶対にあきらめるな!
・運命よ、そこをどけ。オレが通る。
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他にも多くの言葉がありますが、誰の言葉かわかりますか?

これは、アメリカの元プロバスケットボール選手、マイケル・ジョーダンの言葉です。
特に、4つ目の「一度でもあきらめてしまうと、それが癖になる。絶対にあきらめるな!」は、体育館の左手にも掲示されていますので、バスケットボール部の皆さんはしっかりと記憶していると思います。

マイケル・ジョーダンは、その実績からバスケットボールの神様とも評され、バスケットボール界のみならず、世界中のアスリートの尊敬と羨望(せんぼう)を集め、彼の言動は、そのままスポーツをする者、勝負の場に身をおいている者にとっての名言となっています。

これら、マイケル・ジョーダンの言葉は、表現方法こそ違いますが、熟語にまとめると「夢信進工道」が持つ意味と同じように感じます。

夢や目標を持つことは、自分に期待すること。そこからすべては始まること。
夢を信じるとういうことは、目標達成に向け、全力で取り組むこと。
そして、諦めずに「工」の道を進むことは、人は、挑戦と失敗(トライアル&エラー)を繰り返しながら成長するということ。成功や満足は、その先にあること。
失敗を恐れず、果敢に挑戦することの大切さや諦めないことの大切さを教えてくれています。

1年生も、2年生も、3年生も、2学期はイベントが多かったことから、また、特に3年生は進路が決定したことから、ともすると、バーンアウト(仕事などに没頭してきた人が意欲を失う現象)のように、目標を見失ったり、自分に期待できなくなったり、心が不安定な状態にある人もいるのではないかと思います。

幸いなことに、今日を入れてあと10日で今年も終わり、すぐ先に平成30年という区切りの良い新年が待っています。
平成29年を振り返り、平成30年には、マイケル・ジョーダンの「運命よ、そこをどけ。オレが通る。」という、強い精神(こころ)をもって、何事にも果敢に挑戦し、自分自身をさらなる高みに導く年にしてもらいたいと思います。


最後に、お願いです。
終業式にはいつも言っていることですが、長期休業中は心が開放的になり、軽はずみな行動をしがちです。
冬休みを迎えるに当たり、私からお願いしたいことは一つ。
それは、「死ぬな!ケガするな!悲しませるな!」ということです。
「死ぬな!ケガするな!」 これは、皆さん自分自身の心と身体を、
そして、「悲しませるな!」 これは、皆さんの家族を、仲間を、周囲の人をです。
もう一度言います。「死ぬな!ケガするな!悲しませるな!」


それでは、良い年をお迎えください。
三学期の始業式、全員そろって、笑顔で会いましょう!

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